「白夜行」の魔力

800ページ以上あるにもかかわらず、土曜日から読み始めて下手したら今晩には読み終わってしまうかもしれない勢い。悲しいかなテレビ版で小説のラストをいきなりネタバレされてしまっているので最後の最後で謎が一挙に氷解する快感は味わうことができないけれど、脳内で唐沢雪穂を福田麻由子綾瀬はるかに変換して読んでいる。
テレビ版では桐原が戸籍を抹消する展開になっているけれど小説版ではそのくだりは今のところ出てこない。ただ、小説でも桐原は途中から他人の名前を騙って生活しているので、ここをテレビ版では「戸籍抹消」という表現に置き換えたのかもしれない。また、唐沢雪穂がソシアルダンス部で恋に落ちるくだりは小説にもテレビ版にもあるのだが、それを桐原が「信じとったのに」と妬むようになるところは小説には描かれていない。

また一番大事なところで、テレビ版では「時効まで逃げ切る」という設定になっているけれど、小説版では時効を過ぎてからも話は続いている。テレビ版では時代背景をシフトして時間軸も圧縮してしまうのだろうか。

今後テレビ版がほぼ小説版通りに展開するなら、松浦勇は闇に葬られ、大塚ちひろが演じている女性も唐沢雪穂のたくらみで裸に剥かれることになるのだが果たして・・・。

(追記)
4日で読破してしまった。しかし、今までかなりの量の推理小説を読んできているけれどこの小説はこれまでに出会ったことのない異質なものだった。
さて今後の楽しみは、小説版では描かれなかった亮司・雪穂の内面をテレビ版がどのように補完していくのかに移っていくことになる。第3話まで終わった時点での感触では、きっと小説版を読破していてもテレビ版も楽しめる内容になっていると確信している。小説版はかなり不親切で、最後の最後にしても必要最低限の情報しか与えられておらず、後は読者が事件の全容を組み立てなければならないようになっているので、テレビ版がそこを組み立ててくれると非常に助かるというのが本音。