JIN レジェンド

1か月以上続く在宅勤務中に集中再放送されていたのが、江戸幕末期にタイムスリップした医者が"コロリ"から民を救うくだりに現状を重ね合わせることのできる「JINレジェンド」。

本放送時にもかなり気に入って観ていたのですがディテールはかなり忘却し、完結編のラスト部分も記憶から失われていたので、後半に向かうほど初見のように楽しむことができた。

 

今回の再放送でもっとも強く心を揺さぶられたのは、150年もの時間の壁によって切り離された南方仁(大沢たかお)・橘咲(綾瀬はるか)の二人の心を結び合わせる奇跡の恋文、そして歴史の修正力を超えて橘家の娘として生まれた未来(中谷美紀)。

緑膿菌に感染してしまった咲(綾瀬はるか)を救うために現代に戻り薬を持ち帰ろうとした仁(大沢たかお)が二度と咲さんの元に戻れなくなってしまう。初めから南方仁などタイムスリップしてこなかったものに修正されてしまったあとも、仁が残した10円硬貨に触れた瞬間に「お慕い申し上げていた」〇〇先生の記憶を掘り起こし、決して忘れぬよう書き綴る。それは「私だけが幸せになってはいけないのです」と封じ込めつづけた咲が初めて本当の気持ちを綴った「恋文」だった。そして150年の時を超えて現代に舞い戻った仁とリンクする…。

これほどの遠距離恋愛があるだろうか。

また、咲のように、絶対に忘れるべきではない喜怒哀楽の思い出を強い意志を持って書き残すという行為を、現代に生きる自分はどれほど実行できているだろうか。

Hatena Blogも含めツールは充実しているけれど、そこに本当に大事なことを刻むことはできているか。

何歳の時にどの出来事で誰と出会いどんな感情を共有したか、あまりにもたやすく無防備に忘れ去ってしまう記憶をせき止めることができないもどかしさをリアルに感じているため、このJINのラストシーンには本当に涙が止まらなかった。

 

忘れることができるから前進できる、でも忘れてしまうことで大事な何かまで失っているのではないかと思うたびに悲しみが増える。

本当にこのドラマが提示している内容は奥深い。

今回ここに綴ったことで、今感じている記憶は流されないようにとどめることができるだろうか。できていてほしい。